フォーラムミーティング登壇企業インタビュー① 株式会社プチジョブ

スタートアップ2018.11.28

KEIRETSU・JAPANの主催するピッチイベント「フォーラムミーティング」に登壇して、エンジェル投資家からの資金調達を実現された株式会社プチジョブの宮澤社長に、KEIRETSU FORUMとの出会いやフォーラムミーティングの感想、そして今後の展望についてお話を伺いました。

ワーカー版Uberで人材の「もったいない」をなくす
プチジョブ 宮澤社長 インタビュー

【プロフィール】
宮澤 明宏 Akihiro Miyazawa
株式会社プチジョブ 代表取締役
インターネットの黎明期からネット事業一筋。大学生時代に人材派遣事業を立ち上げ、事業売却を経験。その後、大学4年次に仲間5人でインターネット関連会社を創業し、その会社はそののち上場を果たす。同社退社後もWebシステム開発会社、求人サイト運営会社、外国人人材派遣会社等を立ち上げるなど、現在までに計7社の創業に携わる。自ら代表を務めた会社は全4社。事業売却3回のイグジット経験を持つ。
法政大学経営学部経営学科卒。1968年7月25日生まれ。

「人材×IT」で新たな価値を創り出す

――初めに「プチジョブ」について教えてください。
宮澤さん(以下、敬称略):
プチジョブはGPSを利用したリアルタイム求人マッチング、一言で言うと、『ワーカー版 Uber』です。求職者は、今いる場所や普段の生活圏から簡単に求人を検索し、応募が可能。また採用企業は、実際に働いてほしい30分前まで募集ができる仕組みです。

――創業のきっかけは?
宮澤: 先ほどプチジョブは『ワーカー版 Uber』と例えましたが、Uberのようなオンデマンドサービスがどんどん世の中に広がってくる中で、Uber利用時に感じた利便性や仕組み自体を、何か他の分野に応用できないか、常に考えていました。そんな時、『IT×人材』の分野で15年近く事業を行ってきていた背景もあり、人材領域で応用できないかと思いついたのがきっかけです。

――GPSを活用してのリアルタイムマッチング、非常に新しい事業だと思いますが、ユーザーや登録企業の反応はどうでしょうか?
宮澤:まだプロダクトアウト前ですが、テスト段階で既に数百名のユーザーに利用していただき、好評を得ています。今後はユーザー数拡大に力を入れ、一か月あたり数千人規模で増やしていきたいと考えています。また登録企業数については、現在は数社程度、店舗数ベースで数百軒程度ですが、私自身の『IT×人材』領域のネットワークも活用し、今後拡大していく方針です。とはいえ、いきなり求人数が増えるとワーカーが足りない、といったミスマッチが生じる懸念もあるので、両者のバランスを見ながら、じっくり進めていければと考えています。

エンジェル投資家は共に戦うパートナー

――そんな中、事業拡大に向けKEIRETSU JAPANが主催する第4回フォーラムミーティングに参加。見事出資を獲得した訳ですが、KEIRETSU FORUMとの出会いやフォーラムミーティング参加のきっかけは何だったのでしょうか?
宮澤:KEIRETSU FORUMを知ったのは、弊社の最初の株主であり、ボードウォーク・キャピタル株式会社代表の那珂 通雅(なか・みちまさ)さんの紹介でした。那珂さんから初めて、ご自身も投資家メンバーとしてご参加されているKEIRETSU FORUMについて伺ったときは、「ケイレツ」は日本語なのにカタカナで書くと説明され、思わずインターネットで調べました。ホームページの『世界最大のエンジェル投資プラットフォーム』という言葉に惹かれたのみならず、まだ日本に上陸したばかりということで、これはいい話だと思い、プチジョブ初めてのピッチの場として、フォーラムミーティングへの参加を決めました。

――フォーラムミーティングの雰囲気やエンジェル投資家の方々の印象はいかがでしたか?
宮澤:エンジェル投資家の方々は、自分自身でリスクを負って投資をしていらっしゃるので、身を乗り出して話を聞いてくださったという印象です。また、ピッチ前にエンジェル投資家の皆様から簡単な自己紹介がありましたが、すごい方が多く、気後れしないように心がけました。フォーラムミーティングでは、正直圧迫感というか、ある種の怖さを感じたのですが、それもエンジェル投資家の皆さんが真剣に聞いてくださっていたからだと思います。

――他のピッチイベントへ参加された経験も多数あると思いますが、従来のイベントと比較して違いは感じられましたか?
宮澤:ピッチイベントにも多くの種類があるので、もちろん一概には言えませんが、過去に私が参加したベンチャーキャピタル(以下、VC)主催のピッチイベントはオブザーバーが多く、投資の可否のための議論の場というよりは、ビジネスモデルの勉強を目的に集まっている人が多い印象でした。一方で、KEIRETSU FORUM主催のピッチイベントでは、参加者の一人一人が、私の話に真剣に耳を傾けてくれており、投資を意識した質問や議論もとても活発でした。

――エンジェル投資家からの出資を思いつかない企業も多い中、宮澤さんがKEIRETSU FORUMでエンジェル投資家へのピッチを選んだ理由は何でしょうか。
宮澤:先ほども少し触れましたが、エンジェル投資家は自分自身でリスクを負って投資をしている方々なので、ある意味、一緒に事業をやっていける同志だと思っています。もちろん人によって温度差もあると思いますが、共通点はリスクを取っていること。エンジェル投資家は経営者と同等の存在だと私は思っています。エンジェル投資家の皆様は、私と同じような真剣度で私たちの事業を考えてくれており、そのような方々が応援してくれること自体とても心強いです。特に私たちのようにプロダクトが未だ完成していない段階で投資を募る企業にとって、エンジェル投資家のようにビジョンに共感してくれる方々に出資いただけるということは本当にありがたく、VCや銀行からの調達とは異なるご縁だと思っています。

孤独な経営者を支えてくれる存在の大切さ

――出資のお話が出ましたが、今回はフォーラムミーティングから、わずか1か月半で6,000万円を調達されました。ピッチから投資決定までの過程はいかがでしたでしょうか?
宮澤:7月末に資金調達できるのが理想だと思っており、その旨を事前に伝えていましたが、正直6月13日にピッチを行い、7月末に資金調達というスケジュールは現実的ではないだろうと思っていました。投資決定には通常2、3か月かかると言われる中、ピッチからわずか1か月半とスピーディーに投資を決定いただき、本当に早かったと感じています。

――フォーラムミーティング前後のタイミングにて、KEIRETSU JAPANからいくつかサポートをさせていただきましたが、お役に立ちましたか?
宮澤:そうですね、KEIRETSU JAPANスタッフの方々が毎日情報を共有してくださったり、投資家とのミーティングのアレンジなどを行っていただきました。CFOがいるような組織であれば問題ないのですが、基本的には創業者が全て一人で行わなければならないので、こういったサポートは大変ありがたかったです。特に弊社の場合は、組織としてしっかり固まっていない状況だったので、立ち上げ時のサポートは大きかったと感じています。

――フォーラムミーティング前に受けていただいた「ピッチトレーニング」についてはどうでしょうか?
宮澤:ピッチトレーニングを受けたのは、ちょうど事業計画書をそのまま発表するかどうか迷っており、このままだとまずいな、と思っていたタイミングでした。どんな起業家でも、ピッチ慣れしている、と言える程ピッチ経験がある人はいないと思います。皆の前で事業内容を話し、きちんと伝えることに関しては、多くの人が不安に思っているのではないでしょうか。私は今回のピッチトレーニングを経て、事業を立ち上げた経緯や事業に対する情熱、過去の経験をKEIRETSU JAPANのスタッフの方々に引き出していただき、各要素を改めてうまく組み合わせ、ピッチ内容を組み立てることができました。つい様々な要素を盛り込んでしまいますが、今回はピッチトレーニングで直前に整理することができたので、当日は錚々たるメンバーで緊張した反面、話すべき内容は明確に決まっていたので、楽に臨むことができました。

――今回、KEIRETSU FORUMを通して様々なエンジェル投資家と会い、お話をされてきたと思いますが、事業やご自身に何か変化はありましたか?
宮澤:様々なエンジェル投資家の方とお話させていただきましたが、事業概要を何度も伝えることで、事業自体もブラッシュアップしていくことができました。例えば、当初プチジョブはある程度規模が大きくなるまでひっそり進めていこうと思っていましたが、今回様々なエンジェル投資家の方々と話をしていく中で、事業拡大を実現するためにも、積極的に外に出ていくことも必要だ、と考えるようになりました。自分自身で考えたり、自社のスタッフと話すだけでは解決できないこともあるので、ズバッとポイントを言ってくれる点は事業自体にもプラスになっています。

―― 改めてお聞きしますが、エンジェル投資家と付き合うことの意味や意義、そしてKEIRETSU JAPANのエンジェル投資家との今後の関わり方について、教えてください。
宮澤:先ほども申し上げましたが、エンジェル投資家の方々は自分でリスクを取っているので、経営者と一体感や共通点があると思っています。そのため、事業を一緒に大きくしていく同志のようなイメージで、今後も付き合っていきたいと考えています。事業は様々な壁にぶつかるので、その際に色々なアドバイスをもらえる環境を作っておくことが重要です。経営者は孤独ですが、理解して共感してくれる方々がいるというのは、すごく大きいことだと思います。また、KEIRETSU FORUMのエンジェル投資家の皆さんへは引き続き情報発信をしていき、ある時は営業のサポート、またある時は精神的な支えなど、皆様から色々なアドバイスをいただけると嬉しいと思っています。
これから事業が本格的にスタートしていきますが、まずは日本でしっかり形を作り、将来的には世界で事業を展開していきたいので、世界最大のエンジェル投資プラットフォームであるKEIRETSU FORUMの強みも発揮していただけると、大変嬉しく思います。

――最後に、これからフォーラムミーティングにチャレンジするベンチャー企業やスタートアップ企業に一言お願いします。
宮澤:エンジェル投資家の方々はきちんと向き合ってくださるので、ネガティブに捉えず、当たって砕けろ、とにかく参加しろ、と言いたいです。事業がまだまだ「種」のような方もたくさんいらっしゃると思いますし、KEIRETSU JAPANではフォーラムミーティング前に予選会があり、スクリーニングがかかりますが、貴重な機会を得られる場なので、臆さずにぜひ積極的にチャレンジしてほしいと思います。

2018年11月20日

――KEIRETSU FORUMとは
2,000年に米国サンフランシスコで創業し、世界54拠点にて3,000名以上のエンジェル投資家メンバーを有する世界最大のエンジェル投資プラットフォームです。各国のメンバーは、世界中のKEIRETSU FORUMメンバーと繋がっており、質の高いスタートアップ企業情報をリアルタイムにやり取りし、その集合知を活用して投資を行っています。 KEIRETSU・JAPANは、KEIRETSU FORUMの日本法人として、日本を拠点とし、国内外の投資家様、スタートアップ企業様および大企業様向けに様々なサービスをご提供しております。